東南アジアの旅で楽しいのは、街歩きです。市場やナイトマーケットをひやかしてみたり、地元の人が食べているものに挑戦してみたり…日本とは全く違う文化を五感で感じるには、自分の足でその街を歩いてみるのがいちばんです。ただ、そこはやはり異国、日本と同じ感覚で歩き回っていると、思わぬ危険に出会うこともあります。

基本的に、東南アジアは諸外国の中では治安が悪いほうではありません。親日国も多く、普通に街を歩いているだけで命の危険を感じるような目に合うことはめったにないといってよいでしょう。その一方で、頻発している犯罪もあります。スリやひったくりといった窃盗の類です。特に彼らから見て裕福な日本人観光客はターゲットになりやすく、安全に街歩きを楽しむためにはある程度の警戒が必要です。

例えば、次の目的地を確かめるために街角で地図を開く、目的地を探してキョロキョロする…こんな行動はできれば避けたほうがよいでしょう。土地勘がない、慣れない旅行者であることが一目でわかってしまいますし、地図や目的地探しに集中しているときはどうしても隙ができてしまいがちです。それでなくても道を探して荷物から意識が離れた時や、市場などの雑踏に紛れ込んでなど、相手は本当に一瞬のタイミングを狙ってくるのです。

また、大きな通りを外れてフラリと裏道に…なんていうのもあまりおすすめできません。異国の街を隅々まで歩いてみたいという気持ちはわかりますが、やはり人通りの少ない裏道は窃盗犯の恰好の舞台になってしまいます。特に夜であれば、たとえ治安が良いとされる都市でも、窃盗のみならず傷害事件などに巻き込まれてしまう危険性はゼロではありません。

一度盗まれてしまったものは、残念ながらほぼ100%帰ってはきません。見慣れないものばかりの街で気持ちが浮き立ってしまうとは思いますが、貴重品や大切な思い出の品を失うことがないように、最低限の注意は怠らないようにしてください。