『東南アジアは人が優しい』とよく言われます。確かに東南アジアの国々は日本に対して敵対的なところはほとんどなく、実際に行ってみても『日本人だから』という理由で嫌な思いをすることはまずありません。むしろ、暑い国らしいフレンドリーで明るい人々は東南アジアの魅力の1つといってもいいほどです。

特に観光地やリゾート地に行くと、日本人に対して積極的に話しかけてくる人というのは一定数います。中には流暢な日本語を操る人もおり、話しかけらてついつい足を止めてしまうかもしれません。せっかくの旅ですから、現地の人と親しくなれれば…という気持ちを持っている人も少なくないですよね。

ただし気を付けてほしいのが、こうした積極的に日本人とみて話しかけてくる人が全員が全員親切心や好意を持っているわけではないということです。日本は東南アジアの国々からすればくらべものにならないほど裕福に見えますし、犯罪や悪意に対する警戒心もかなり薄い人が大半を占めます。そのため、あわよくば犯罪のターゲットにしてやろうと考える現地人も決して少なくないのです。

とはいえ東南アジアもけっして治安が悪いほうではないので、犯罪といっても殺人や傷害といった命の危険を感じるようなことはほとんどありません。窃盗や詐欺といったお金に関するものがほとんどです。もちろん、だからOKという話にはなりませんが。

また、女性に対してはお金ではなく体目当てに近づいてくる人間というのもいるので、その点も注意しなければなりません。南国のリゾートというシチュエーションに、人はついつい開放的な気分になってしまいがちです。そんな非日常に浮かれた女性を一晩限りの遊び相手にしてやろうという輩は思った以上に多いのです。

彼らは一様に口がうまく、とても紳士的に見えます。中には本気で恋をしてしまう人もいるでしょう。しかし相手からすれば、単なるあとくされのない外国人観光客に過ぎないのです。中には心を許して油断したところで金品を奪って姿を消すような悪質な人間もいるので、くれぐれも知らない現地人にうっかりついていかないようにしてください。

訪れる側の私たちからすれば、異国であり非日常である東南アジアの国々も、現地の人にとっては毎日を必死に生き抜く生活の場です。『はるか異国で現地人と交流を深める』というのはこちら側の勝手な理想であり幻想にすぎないことも多々あります。必要な警戒心を忘れず、現地の人の生活を乱さないようにするのも、旅の大切な心掛けの1つです。