東南アジアでは観光客狙いの窃盗というのは本当に日常茶飯事レベルで多発しています。警戒を怠っていればもちろんのこと、どんなに周到に対策をしていても貴重品を盗まれてしまうことはあるかもしれません。そんな時、どうしたらよいのでしょうか？

何を盗まれた場合でも、とにかくまずは警察に行きましょう。とはいっても正直な話、盗まれたものはほぼ100％かえってきません。経験上断言してしまってもいいのですが、警察に行っても、残念ながら盗まれたものを取り返すための捜査というのはまず期待できないでしょう。では何をするかというと、盗難の被害届を出すことが非常に大切なのです。

警察で盗難の状況や被害に遭ったものの詳細を説明すると、それをまとめた証明書が出してもらえます。これが盗難被害に遭った際の様々な手続きに必要になるのです。例えば盗まれたものは帰ってこないにしても、事前に海外旅行保険に入っていれば保険金を申請することができます。その際には、警察から出された証明書が唯一の証書となります。

また、もしその中にパスポートが含まれていたとしたら必要な手続きを踏まねば日本に帰ることすらできません。パスポートを何らかの形で現地で失ってしまった場合、大使館にてその失効手続きをして、日本に帰るためにパスポートの再発行、もしくは帰国のための渡航書を発行してもらわなければなりません。そのどちらの場合にも、警察から発行された盗難証明は絶対に必要になります。

それに加えて、どちらの場合でも書類用の写真を用意しなければなりませんが、これに関しては大使館のあるような都市部であればさほど苦労することはないでしょう。短期の旅行で、そのまま別の国に渡航する予定がなければ、ほとんどの人は帰国のための渡航書を申請することになると思います。その場合、日本国籍がわかる運転免許証などの身分証明や旅程がわかるエアチケットなども必要です。

一方、パスポートの再発行はもう少し面倒で、戸籍謄本もしくは戸籍抄本が必ず求められます。バックパッカーなどで長期滞在をする場合や、日本に帰らず直接ほかの国にわたる場合にはどうしてもパスポートが必要になってしまうので、万が一に備えて、荷物の中に1通これらの書類を入れておくことをおすすめします。

盗難に遭わないのに越したことはありませんが、その可能性をゼロにすることは残念ながら不可能です。もしもの時にあわてずに済むよう、必要な対処・備えは知っておくとよいでしょう。